【獣医監修】猫の感染症の種類と症状

健康・医療

はじめに

猫を健康に保つためには、感染症の予防と早期発見が重要です。猫の感染症には様々な種類があり、それぞれ特徴的な症状を示します。この記事では、獣医師の監修のもと、感染症の重大性に基づいて分類し、主な猫の感染症の種類と症状について詳しく解説します。飼い主さんが感染症の兆候を見逃さず、適切な対応を取れるようになることを目的としています。

本動画は https://no-lang.com によりCC-BY-SAライセンスの下で作成されました。

VOICEVOX:四国めたん

生命に関わる重大な感染症

↑FIP罹患猫)

猫白血病ウイルス(FeLV)感染症

猫白血病ウイルス(FeLV)感染症は、猫の健康を脅かす最も重大な感染症の一つです。FeLVは、感染した猫の唾液、鼻汁、涙、母乳、排泄物などを介して広がります。感染すると、猫の免疫系に深刻な影響を及ぼし、様々な病気を引き起こします。

FeLV感染症の症状は多岐にわたり、以下のようなものがあります。

  • 発熱
  • 食欲不振
  • 貧血
  • リンパ腫
  • 免疫抑制に伴う二次感染
  • 神経症状
  • 慢性感染症

予防には、ワクチン接種と感染猫との接触を避けることが重要です。特に、屋外で飼育されている猫や、多頭飼育環境にある猫は、感染リスクが高くなります。
【白血病について詳しくはこちら】

猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症

猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症は、猫のエイズとも呼ばれ、ヒトのHIVと同様に免疫系を攻撃する感染症です。FIVは主に感染猫との喧嘩や交尾を通じて広がります

FIV感染症の症状は以下のようなものがあります。

  • 発熱
  • 食欲不振
  • 慢性感染症
  • 免疫力低下
  • 口内炎
  • 皮膚感染症
  • 神経症状

現在、FIVに対するワクチンは開発されていないため、予防には感染猫との接触を避けることが最も重要です。

猫伝染性腹膜炎(FIP)

猫伝染性腹膜炎(FIP)は、コロナウイルスの変異株によって引き起こされる致死率の高い感染症です。FIPは、主に感染猫との接触や、ウイルスに汚染された環境を介して広がります

FIPの症状は、体液貯留型(ウェット型)非体液貯留型(ドライ型)に分類されます。共通する症状は以下の通りです。

  • 発熱
  • 食欲不振
  • 体重減少
  • 元気消失
  • 黄疸

ウェット型では腹水や胸水の貯留が、ドライ型では神経症状や眼病変が特徴的です。
【FIPについて詳しくはこちら】

予防には、感染源との接触を避け、適切な衛生管理を行うことが重要です。

日常的に見られる感染症

(↑目やにがある猫)

猫上部気道感染症(ヘルペスウイルス、カリシウイルス)

猫上部気道感染症は、飼い猫において最も一般的な感染症の一つです。主な原因ウイルスは、猫ヘルペスウイルス(FHV-1)猫カリシウイルス(FCV)です。これらのウイルスは、感染猫との直接的な接触や、ウイルスに汚染された環境を介して広がります。

上部気道感染症の症状は以下の通りです。

  • くしゃみ
  • 鼻水
  • 目やに
  • 発熱
  • 食欲不振
  • 元気消失

予防には、ワクチン接種適切な衛生管理、ストレス軽減が重要です。感染が疑われる場合は、速やかに獣医師に相談し、適切な治療を受けることが大切です。
【上部気道感染症についてはこちら】

猫下部尿路感染症

猫下部尿路感染症は、膀胱や尿道に影響を及ぼす疾患の総称です。ストレスや不適切な食事、尿路結石などが原因となることが多いですが、細菌感染が関与している場合もあります。

下部尿路感染症の症状は以下の通りです。

  • 頻尿
  • 血尿
  • 排尿時の痛み
  • トイレ以外での排尿
  • 尿閉(重症例)

予防と治療には、ストレス管理適切な食事療法、十分な水分摂取、衛生管理などが重要です。症状が見られた場合は、速やかに獣医師に相談しましょう。
【尿路感染症の予防についてははこちら】

皮膚感染症(細菌性、真菌性)

猫の皮膚感染症は、細菌や真菌が原因となって引き起こされます。アレルギーや外部寄生虫、ホルモン異常などの基礎疾患がある場合、皮膚感染症を発症しやすくなります。

皮膚感染症の症状は以下の通りです。

  • 皮膚の発赤
  • かゆみ
  • 脱毛
  • 鱗屑
  • 湿疹
  • 膿疱

予防には、皮膚の清潔維持と基礎疾患の適切な管理が重要です。症状が見られた場合は、獣医師に相談し、適切な治療を受けることが大切です。
→【猫の皮膚トラブルについてはこちら】

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寄生虫感染症

猫の寄生虫(内部寄生虫)について | どうぶつのお医者さん OCEAN'S ANIMAL CLINIC
内部寄生虫とは? 猫の寄生虫にはノミ・ダニなどの外部寄生虫のほかにも、体内に寄生する内部寄生虫がいます。

(↑猫の内部寄生虫についてはこちらをご覧ください)

消化管内寄生虫症

猫の消化管内寄生虫症は、様々な種類の寄生虫が猫の消化管内に寄生することによって引き起こされます。主な寄生虫には、以下のようなものがあります。

  • 回虫
  • 鉤虫
  • 鞭虫
  • コクシジウム
  • ジアルジア
  • トリコモナス

消化管内寄生虫症の症状は以下の通りです。

  • 下痢・軟便
  • 嘔吐
  • 体重減少
  • 貧血
  • 被毛の光沢消失
  • 腹位膨満

予防には、定期的な駆虫薬の投与と適切な衛生管理が重要です。感染が疑われる場合は、獣医師に相談し、適切な診断と治療を受けることが大切です。

消化管外寄生虫症

消化管外寄生虫症は、寄生虫が猫の体表や体内の様々な部位に寄生することによって引き起こされます。主な寄生虫には、以下のようなものがあります。

  • ノミ
  • ダニ
  • ハジラミ
  • ミミヒゼンダニ
  • ヒゼンダニ

消化管外寄生虫症の症状は、寄生虫の種類によって異なりますが、以下のようなものがあります。

  • 皮膚のかゆみ
  • 脱毛
  • 皮膚の発赤
  • 耳垢の増加

予防には、定期的な外部寄生虫駆除薬の投与と適切な衛生管理が重要です。感染が疑われる場合は、獣医師に相談し、適切な診断と治療を受けることが大切です。

感染症の予防と対策

ワクチン接種

ワクチン接種は、猫の感染症予防において最も重要な手段の一つです。主要な感染症に対するワクチンには、以下のようなものがあります。

  • 猫汎白血球減少症ワクチン(パンロイコペニア)
  • 猫ヘルペスウイルス感染症ワクチン
  • 猫カリシウイルス感染症ワクチン
  • 猫白血病ウイルス感染症ワクチン
  • 猫クラミジア感染症ワクチン
  • 狂犬病ワクチン

ワクチン接種は、獣医師と相談の上、猫の年齢、健康状態、生活環境などを考慮して適切なスケジュールを決定することが重要です。
【ワクチン接種の重要性についてはこちら】

衛生管理

適切な衛生管理は、感染症の予防に欠かせません。以下のような点に注意しましょう。

  • 食器やトイレなどを定期的に洗浄・消毒する
  • 猫の排泄物を適切に処理する
  • 猫の飼育環境を清潔に保つ
  • 新しい猫を迎える際は、健康状態を確認し、適切な検疫期間を設ける
  • 感染が疑われる猫は、他の猫から隔離する

ストレス管理

ストレスは、猫の免疫力を低下させ、感染症に対する抵抗力を弱めます。ストレス管理は、感染症予防の観点から重要です。以下のような点に注意しましょう。

定期健診

定期的な健康診断は、感染症の早期発見と予防に役立ちます。年に1〜2回、獣医師による健康診断を受けることをお勧めします。健診では、以下のような点がチェックされます。

  • 体重や体温などの一般身体検査
  • 皮膚や被毛の状態
  • 口腔内の状態
  • リンパ節の腫脹
  • 心音や呼吸音の異常
  • 血液検査や糞便検査

飼い主さんが感染症の予防と対策の重要性を理解し、適切な措置を講じることが、愛猫の健康を守る鍵となります。ワクチン接種、衛生管理、ストレス管理、定期健診などを組み合わせることで、感染症のリスクを最小限に抑えることができます。獣医師とのコミュニケーションを大切にし、愛猫の健康状態に注意を払いながら、幸せな猫との生活を送りましょう。

まとめ

猫の感染症は、重大性に基づいて分類することができます。生命に関わる重大な感染症には特に注意が必要ですが、日常的に見られる感染症や寄生虫感染症も適切な対応が求められます。感染症の予防には、ワクチン接種、衛生管理、ストレス管理、定期健診などが有効です。飼い主さんが感染症の症状を早期に発見し、獣医師と協力して対処することが、猫の健康を守るために重要です。猫の健康状態に注意を払い、適切な予防と治療を行うことで、猫との幸せな生活を送りましょう。

【この記事の監修者】
窪木未津子 獣医師 / 富士見台どうぶつ病院 院長

群馬県出身。ヤマザキ動物専門学校卒業後、麻布大学獣医学部を修了。埼玉県と東京都の動物病院で勤務した経験を持つ。

獣医師・動物看護士・トリミング・ドッグトレーナーの資格を有し、あらゆる面でペットとその飼い主をサポート。生活の悩みから病気やケガに至るまで、幅広い相談に応じる。

過去に飼っていた動物として、ツキノワグマ、リスザル、ニオイカメ、魚、鳥、フクロモモンガ、ハムスター、シマリスなど、多種多様な動物たちと共に過ごしてきました。

院長を務める動物病院「富士見台どうぶつ病院」

住所:東京都中野区上鷺宮4-15-6
電話番号:03-3825-1111
診療時間:午前9:00〜12:00 午後16:00〜19:00
休診日:木曜日
診療対象:犬、猫、うさぎ、ハムスター、フェレット(その他の種類はお問合せください)
※お電話でのご予約は受付けておりません。

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