はじめに

愛猫がFIPと診断されたとき、飼い主さんが直面するのは「どの治療薬を選べばいいのか」という大きな不安です。インターネットで調べても、MUTIAN、CFN、モルヌピラビル、レムデシビル…たくさんの薬の名前が出てきて、何が違うのか、なぜこんなに価格が違うのか、混乱してしまう方も多いでしょう。
「高い薬のほうが効くの?」「安い薬では治らない?」「うちの子にはどれが合っている?」
この記事では、FIP治療薬の種類と違いを分かりやすく解説し、それぞれの特徴や価格差の理由をお伝えします。そして最も大切なのは、実は薬の種類よりも「適切な投与期間の遵守」と「経験豊富な獣医師による管理」だということもお話しします。
正しい知識を持って、愛猫にとって最良の選択ができるよう、一緒に見ていきましょう。
FIPとは?獣医師監修の情報は↓をご覧ください。
FIP治療薬の基礎知識 – GS-441524、レムデシビル、モルヌピラビルとは

GS-441524とGS製剤の関係
FIP治療薬を理解する上で、まず知っておきたいのが「GS-441524」という物質です。これは、アメリカの製薬会社ギリアド・サイエンシズが開発した化合物で、FIPの原因となるウイルスの増殖を抑える働きがあります。
研究では非常に高い効果が確認されたのですが、正式な動物用医薬品としては発売されませんでした。その結果、複数のメーカーが独自にこの成分を含む製品を製造・販売するようになり、これらをまとめて「GS製剤」と呼んでいます。
代表的なGS製剤には、MUTIAN(ムティアン/現在はXraphconnラプコン)、CFN(チュアンフーニン)、Felisvil(フェリスビル)などがあります。同じGS-441524を含む薬でも、製造方法や品質管理の違いにより、効果や価格に差が出ているのが現状です。
レムデシビルとモルヌピラビルの違い
レムデシビルは、GS-441524の「親戚」のような薬です。猫の体内に入るとGS-441524に変化し、ウイルスの増殖を抑えます。注射薬なので、飲み薬が飲めない重症の猫ちゃんや、治療開始直後の緊急時に使用されます。効果が確実に体内に届くメリットがありますが、1回の注射で2〜4万円と高額で、注射時の痛みもあります。
モルヌピラビルは、GS製剤とは全く違う仕組みでウイルスと戦う薬です。人間の新型コロナウイルス治療薬「ラゲブリオ」と同じ成分で、ウイルスが自分のコピーを作る時に間違いを起こさせ、増殖できなくします。
猫のFIPを起こすウイルスも人間の新型コロナと同じ「コロナウイルスの仲間」なので、モルヌピラビルが効果を発揮できるのです。最大の特徴は価格の安さで、GS製剤の3分の1から4分の1程度。84日間の治療で5〜20万円程度と、経済的な負担が大きく軽減されます。
ただし、モルヌピラビルは猫での使用実績がGS製剤より少なく、長期的な安全性についてはまだ十分なデータが集まっていません。動物病院によって「第一選択として使う」「GS製剤が効かない時の次の手段として残しておく」など、位置づけが異なります。
GS製剤の種類と違いを徹底比較

MUTIAN・CFN・その他GS製剤の特徴
MUTIAN(ムティアン/Xraphconn)
MUTIANは、FIP治療薬として最も歴史が長く、症例数も多い薬です。141匹の猫に投与した研究では、生存率82.2%、84日間の投薬後の再発率は2.5%という結果が報告されています。長年の実績があり、多くの獣医師が使用経験を持っているため、安心感があります。
ただし、価格は84日間で100〜150万円と高額です。また、以前は供給が不安定な時期もあり、治療途中で薬が手に入らなくなる心配もありました。
CFN(チュアンフーニン)
CFNは、MUTIANを製造していた会社の元社員が独立して作った薬です。成分や製造方法はMUTIANとほぼ同じとされ、改善率95〜99%、再発率0〜0.9%と非常に高い治療成績を誇ります。
最大の特徴は「重症度を問わず再発保証がある」こと。これは他のGS製剤にはない強みです。価格はMUTIANとほぼ同額からやや高めですが、万が一再発した場合の経済的リスクを減らせます。デメリットは流通量が少なく、在庫確保に不安がある点です。
その他のGS製剤(Felisvil、SPARK & AURAなど)
MUTIANの約半額(50〜70万円程度)で購入できるGS製剤も複数あります。価格が安い分、改善率80%台、再発率8〜33%とMUTIAN/CFNよりやや低めのデータになっています。
ただし、これは「安い薬だから効かない」というわけではありません。薬の含有量が少なかったり品質管理が不安定だったりするケースもありますが、経験豊富な獣医師が適切な投与量を調整し、血液検査で効果を確認しながら治療すれば、十分に治療成功が期待できます。
実際、ある動物病院ではFelisvilというと製剤を長年使用し、84日間の投与継続と数値確認による個別調整で、再発をほぼゼロに抑えている実績があります。
価格差の理由 – 高い薬と安い薬の違い
なぜ同じGS-441524を含む薬なのに、こんなに価格が違うのでしょうか。
高額なMUTIAN/CFNの理由 品質管理が徹底されており、含有量が保証されています。長年の臨床データが蓄積されているため、どのくらいの量をどう使えばいいかが明確です。また、供給体制や再発保証などのサポート体制も価格に含まれています。
安価なGS製剤のリスクと可能性 価格が安い分、品質管理や含有量保証が不十分なケースもあります。偽物や粗悪品のリスクもゼロではありません。ただし、信頼できる獣医師から入手し、適切な管理下で使用すれば、十分な効果が期待できます。
重要なのは「安いから悪い、高いから良い」ではなく、「獣医師の経験と管理体制」です。どの薬を選ぶにしても、FIP治療の経験が豊富で、血液検査の数値を見ながら投与量を細かく調整してくれる獣医師のもとで治療を受けることが、治療成功の最大の鍵となります。

モルヌピラビルは本当に安全?メリットとデメリット
モルヌピラビルは、2023年頃から猫のFIP治療に使われ始めた比較的新しい薬です。「価格が安いけど本当に大丈夫?」と心配される飼い主さんも多いでしょう。
モルヌピラビルのメリット
圧倒的な価格の安さ 84日間の治療で5〜20万円程度と、GS製剤の3分の1から4分の1の費用で治療できます。「FIPは治る病気になったけど、治療費が高すぎて諦めざるを得ない」という状況を大きく改善してくれました。
日本国内で唯一認可されている成分 人間用の新型コロナ治療薬「ラゲブリオ」として正式に承認されており、大量生産されているため安定供給が可能です。品質も一定水準が保たれています。
自宅での治療がしやすい 経口薬(飲み薬)なので、猫ちゃんにストレスをかけずに自宅で投薬できます。
モルヌピラビルのデメリットと注意点
猫での使用実績がまだ少ない GS製剤に比べると症例数が少なく、長期的な安全性についてのデータが十分に集まっていません。2023年の研究では18匹中14匹が完治(寛解率77%)という結果が報告されていますが、さらなるデータの蓄積が必要です。
催奇形性・発がん性の懸念 動物実験では催奇形性(胎児への影響)や発がん性が指摘されていますが、実際の猫の治療で問題が起きた報告はありません。妊娠中の猫には使用しないこと、投薬期間が84日間と長いため、将来的な影響については慎重に考える必要があります。
効果に個体差がある可能性 「最初は効いたのに、途中から効かなくなった」というケースが報告されています。ウイルスが薬剤耐性を獲得する可能性があるため、治療開始後の経過観察が特に重要です。
モルヌピラビルの位置づけ
多くの動物病院では、モルヌピラビルを「第二選択」として位置づけています。つまり、GS製剤が経済的に難しい場合や、GS製剤が効かなかった場合の次の手段として考えるということです。
ただし、神経症状が出ているドライタイプのFIPには、モルヌピラビルのほうが脳に届きやすいという意見もあります。病状や経済状況に応じて、獣医師とよく相談して決めることが大切です。
【最重要】治療成功の鍵は薬の種類ではない – 科学的根拠に基づく投与管理

ここまで様々な治療薬を紹介してきましたが、実は最も大切なのは「どの薬を選ぶか」ではなく、「正しい期間、正しい量で投与し続けること」と「経験豊富な獣医師による管理」です。
ウイルスが消えるまでの科学的根拠 – なぜ最低84日間必要なのか
FIP治療でよくある誤解が「症状が良くなったら薬をやめてもいい」というものです。しかし、これは大きな間違いです。
症状改善 ≠ ウイルス消滅
投薬を始めて1〜2週間で、猫ちゃんは食欲が戻り、元気になり、腹水や胸水も消えていきます。見た目には「もう治った!」と思えるでしょう。しかし、この時点ではまだウイルスは体内に残っています。
研究によると、FIPウイルスが体内から完全に消えるまでには最低70〜84日間かかることが分かっています。症状が改善しても、ウイルスはまだ潜んでいるのです。
途中で投薬を中止すると、残っていたウイルスが再び増殖を始め、再発します。再発した場合、ウイルスが薬剤耐性を獲得している可能性もあり、治療がさらに困難になります。
ただし、「84日間投与すれば確実に治る」というわけではありません。大切なのは、定期的に血液検査や超音波検査で数値を確認しながら、その猫ちゃんの状態に合わせて投与期間を調整することです。数値が十分に改善していなければ、90日、100日と延長する必要もあります。逆に、早期に数値が安定すれば70日程度で終了できるケースもあります。
経験豊富な獣医師による個別管理の重要性
同じ薬を使っても、治療成績に差が出るのはなぜでしょうか。それは獣医師の経験と管理の質が大きく影響するからです。
適切な投与量の調整 猫の体重、FIPのタイプ(ウェット/ドライ)、症状の重さによって必要な薬の量は変わります。特に神経症状や眼症状がある場合は、通常の1.3〜2倍の量が必要です。獣医師は血液検査の数値(グロブリン値、ビリルビン値など)を見ながら、その子に最適な量を調整します。
定期的な経過観察 治療中は1〜2週間ごとに血液検査や超音波検査を行い、効果を確認します。数値が思うように下がらない場合は投与量を増やしたり、投与回数を1日2回に分けたりする判断も必要です。
84日以上の投与継続 状態によっては、84日間で終わらず、90日、100日と延長することもあります。数値がまだ安定していない場合、無理に終了せず継続する判断ができる獣医師が重要です。
ある動物病院では、価格が比較的安いGS製剤を使用していますが、徹底した投与管理により再発をほぼゼロに抑えています。薬の種類より、獣医師の経験と管理能力が治療成功を左右するのです。
治療成功に必要な3要素
FIP治療を成功させるには、以下の3つが揃うことが必要です。
- 経験豊富な獣医師 – FIP治療の実績があり、個別に投与量を調整できる
- 飼い主の経済力と継続力 – 84日間以上、毎日確実に投薬できる
- 獣医師と飼い主の信頼関係 – 不安や疑問を相談でき、指示を守れる関係
高額な治療を続ける不安、「症状が良くなったからもういいかな」という気持ち、「病院の金儲けでは?」という疑念。これらはすべて自然な感情です。
しかし、84日間という投与期間には科学的根拠があります。獣医師を信頼し、最後まで治療を続けることが、愛猫の完治につながります。
FIP治療経験豊富な獣医師が近くにいない場合は?
「経験豊富な獣医師が重要と言われても、近所にFIP治療の実績がある病院がない…」そんな不安を抱える飼い主さんも多いでしょう。 でも、諦める必要はありません。今はオンライン相談という選択肢があります。
遠方の専門医に、猫ちゃんの症状や検査結果を見てもらい、治療方針や投与量についてアドバイスを受けることができます。かかりつけ医と連携しながら、FIP治療の経験が豊富な獣医師のサポートを受けられる時代になりました。 オンライン相談について詳しくは、こちらの記事をご覧ください
病型・症状別の薬剤選択ガイド
FIPには「ウェットタイプ」と「ドライタイプ」があり、症状によって適した治療薬や投与量が変わります。
ウェットタイプ(経口投与が可能な場合)
腹水や胸水が溜まるウェットタイプで、食欲があり飲み薬が飲める状態であれば、治療薬の選択肢は広くなります。GS製剤でもモルヌピラビルでも対応可能です。
経済的に余裕があればMUTIANやCFNを、費用を抑えたい場合はその他のGS製剤やモルヌピラビルを選択できます。ウェットタイプは比較的薬が効きやすいため、標準的な投与量で効果が期待できます。
ドライタイプ(神経・眼症状がある場合)
神経症状や眼の症状があるドライタイプは、薬が脳や眼に届きにくいため、通常の1.3〜2倍の投与量が必要になります。そのため、治療費もウェットタイプより高額になります。
モルヌピラビルは脳に届きやすいという報告もあり、神経症状がある場合の選択肢として検討されることもあります。ただし、まずはGS製剤を高用量で使用し、効果が不十分な場合の次の手段としてモルヌピラビルを残しておくという考え方が一般的です。
重症・経口投与が困難な場合
食欲がなく飲み薬が飲めない重症例や、治療開始直後で緊急を要する場合は、レムデシビル注射から治療を開始します。
レムデシビルは注射薬なので、確実に体内に薬を届けられます。1回の注射で2〜4万円と高額ですが、重症例では数日間の注射治療で状態を安定させ、その後GS製剤の飲み薬に切り替えるという方法が取られます。
注射時の痛みや、肝機能の数値が一時的に上がるなどの副作用が出ることもありますが、命を救うための緊急処置として重要な選択肢です。
治療薬選択で最も重要なこと
結局のところ、治療薬の選択は「お財布との相談」になります。どんなに良い薬でも、84日間(あるいはそれ以上)継続できなければ意味がありません。
最初から経済的に無理なく継続できる薬を選ぶことも大切ですが、途中で経済的に厳しくなった場合は薬の切り替えも可能です。治療を諦めるのではなく、継続できる選択肢を獣医師と相談してください。
獣医師に正直に予算を伝え、その範囲内で最善の治療を相談することが、愛猫を救う第一歩です。
治療薬は途中で切り替えることも可能
治療を始めたら最後まで同じ薬を使い続けなければいけない、というわけではありません。状況に応じて治療薬を切り替えることも可能です。
実際に以下のようなケースがあります
モルヌピラビルからGS製剤への切り替え
モルヌピラビルで治療を開始したものの、効果が不十分だったり、副作用が強く出たりした場合、GS製剤に切り替えて持ち直した例は多数報告されています。
高額な治療薬から安価なものへの切り替え
MUTIANやCFNで治療を開始したものの、経済的に継続が難しくなった場合、より安価なGS製剤やモルヌピラビルに切り替えて治療を続けることも選択肢です。途中で治療を諦めるよりも、継続できる薬に切り替えるほうがはるかに良い結果につながります。
切り替えを検討する際の注意点
治療薬の切り替えは、必ず獣医師と相談して行ってください。切り替えのタイミング、新しい薬の投与量、これまでの投与期間のカウント方法など、専門的な判断が必要です。
また、切り替えに伴って病院が変わる可能性もあります。その場合は、これまでの治療経過や検査データを新しい獣医師に共有することが重要です。セカンドオピニオンとして別の病院に相談するのも良い選択です。
何よりも大切なのは、猫ちゃんの状態を最優先に考えること。経済的な問題や治療効果の問題があれば、遠慮せず獣医師に相談し、その子にとって最善の選択を一緒に探してください。
治療中のサポートケアと各薬剤の副作用
治療薬ごとの副作用と特徴
GS製剤の副作用
GS製剤(MUTIAN、CFN、Felisvilなど)は、副作用が比較的少ないのが大きな特徴です。治療中に見られる主な副作用は、軽度の肝機能数値の上昇や、下痢・嘔吐などの消化器症状ですが、重篤なものはほとんど報告されていません。
種類がたくさんあるため、どの薬を適量で使うかが重要になります。経験豊富な獣医師であれば、その子に合った薬と投与量を見極めることができます。
モルヌピラビルの副作用と課題
モルヌピラビルは価格が安い反面、副作用が出やすく、個体差が大きいという特徴があります。
特に問題となるのが、薬の味が苦く、猫が嫌がって飲まないことです。投薬ストレスが大きくなり、毎日の投薬が困難になるケースもあります。
また、人間用の薬のため投薬量の調整が難しいという課題もあります。猫の体重に合わせた細かい調整がしにくく、副作用が強く出る子もいます。消化器症状や、まれに神経症状が出ることも報告されています。
レムデシビルの副作用
レムデシビルは効果が確実な反面、副作用が強く出やすい薬です。注射時の痛みに加え、肝機能の数値が上昇することが多く、定期的な血液検査での監視が必要です。また、1回の注射で2〜4万円と非常に高額なため、長期使用は現実的ではありません。
そのため、重症時の初期治療(数日〜1週間程度)にのみ使用し、状態が安定したらGS製剤の飲み薬に切り替えるのが一般的です。
治療中の臓器サポート
FIP治療中は肝臓や腎臓に負担がかかりやすいため、治療薬と併用して臓器サポートを行うことも重要です。
フェリスケア(ねこ用プラセンタサプリメント)は、肝臓・腎臓の健康維持をサポートするサプリメントです。FIP治療中の猫ちゃんの体調管理や、治療後の体力回復にも役立ちます。毛艶も良くなり、元気を取り戻すサポートをしてくれます。
通販・個人輸入の危険性
インターネットで検索すると、治療薬を安く通販で購入できるサイトが見つかることがあります。しかし、通販や個人輸入には大きなリスクがあります。
偽物や粗悪品が混ざっている可能性、含有量が表示と異なる可能性、保管状態が悪く効果が落ちている可能性など、様々な危険があります。また、FIPは治療を開始するまでのスピードが命を左右する病気です。通販で薬を待っている間に、猫ちゃんの状態が悪化してしまうこともあります。
必ず獣医師の診断と処方のもとで治療薬を入手し、定期的な検査と管理を受けながら治療を進めてください。それが、愛猫の命を救う最も確実な方法です。
よくある質問(Q&A)
Q1: GS製剤とモルヌピラビル、どちらを選ぶべきですか?
A: 経済的に余裕があれば、症例数が多く実績のあるGS製剤(MUTIAN、CFN、その他)を第一選択として検討してください。副作用が少なく、多くの獣医師が使用経験を持っているため安心感があります。
ただし、治療費の問題で84日間の継続が難しい場合は、モルヌピラビルも選択肢になります。価格は3分の1〜4分の1程度で、適切に管理されれば十分な効果が期待できます。ただし、苦味が強く投薬が難しい、副作用の個体差が大きいなどの課題もあります。
最も重要なのは「最後まで継続できる薬を選ぶこと」です。獣医師に予算を正直に伝え、相談してください。
Q2: 安いGS製剤でも治療は成功しますか?
A: はい、可能です。MUTIAN/CFNの半額程度のGS製剤(Felisvil、SPARK & AURAなど)でも、経験豊富な獣医師による適切な投与管理があれば、十分に治療成功が期待できます。
実際、ある動物病院ではFelisvilを長年使用し、84日以上の投与継続と数値確認による個別調整で、再発をほぼゼロに抑えている実績があります。
重要なのは「薬の価格」ではなく、「獣医師がFIP治療の経験を持ち、血液検査の数値を見ながら投与量を細かく調整できるか」です。信頼できる獣医師のもとで治療を受けてください。
Q3: 症状が良くなったら投薬をやめてもいいですか?
A: いいえ、絶対にやめてはいけません。これは最も多い誤解です。
投薬開始から1〜2週間で症状が劇的に改善し、「もう治った!」と思えるでしょう。しかし、この時点ではまだウイルスは体内に残っています。症状改善はウイルス消滅を意味しません。
ウイルスが体内から完全に消えるまでには最低70〜84日間かかります。途中で投薬を中止すると再発し、治療がさらに困難になります。必ず獣医師の指示に従い、血液検査の数値が十分に改善するまで継続してください。
Q4: 84日間の治療費が払えない場合はどうすれば?
A: まず、獣医師に正直に予算を伝えてください。以下のような選択肢があります。
- モルヌピラビルを選択する: GS製剤の3分の1〜4分の1の費用(5〜20万円程度)で治療できます
- 安価なGS製剤を選択する: MUTIANの半額程度(50〜70万円)のGS製剤もあります
- 動物病院と分割払いを相談する: 病院によっては相談に応じてくれることもあります
- ペット保険の確認: FIPが補償対象になっている保険もあります(ただし未承認薬は対象外の場合が多い)
途中で治療を諦めるより、経済的に継続可能な方法を最初に見つけることが重要です。
Q5: 通販でGS製剤を買うのは危険ですか?
A: はい、非常に危険です。
インターネット通販で購入できるGS製剤には、以下のリスクがあります:
- 偽物や粗悪品が混ざっている可能性
- 含有量が表示と異なる可能性
- 保管状態が悪く効果が落ちている可能性
- 投与量の調整を誤り、治療失敗や副作用のリスク
- 緊急時に薬が届くまで時間がかかり、手遅れになる可能性
FIPは治療開始のスピードが命を左右します。必ず獣医師の診断と処方のもとで治療薬を入手し、定期的な検査と管理を受けながら治療してください。それが愛猫の命を救う最も確実な方法です。
まとめ
FIPの治療薬には、MUTIAN、CFN、その他のGS製剤、モルヌピラビル、レムデシビルなど様々な選択肢があり、それぞれに特徴や価格差があります。
しかし、この記事で最もお伝えしたかったのは、「薬の種類よりも、適切な投与期間の遵守と経験豊富な獣医師による管理が治療成功の鍵」だということです。
ウイルスが体内から消えるまでには最低70〜84日間かかり、症状が良くなっても途中でやめてはいけません。ただし、84日間投与すれば確実というわけではなく、血液検査の数値を確認しながら、その子に合わせて投与期間を調整することが重要です。
高額な治療を続ける不安、経済的な負担は誰もが感じることです。だからこそ、獣医師に正直に予算を伝え、無理なく継続できる薬を選ぶことが大切です。どの薬を選んでも、経験豊富な獣医師のもとで適切に管理されれば、愛猫を救える可能性は十分にあります。
FIPは「不治の病」から「治る病気」に変わりました。正しい知識と信頼できる獣医師、そして飼い主さんの継続力があれば、愛猫は必ず元気を取り戻せます。諦めずに、一緒に頑張りましょう。
参考文献・参照記事
- 現在のFIP治療~ムティアン、CFN、モルヌピラビルについて~ | 動物病院フロンティア https://www.ah-frontier.com/813
- FIPの治療薬にはどんな種類がある?MUTIAN(ムティアン)やCFNの値段や副作用まとめ | 令和動物病院 https://reiwa-animal-hospital.com/2023/12/21/fip(猫伝染性腹膜炎)に対する治療薬mutian(xraphconn)のエ/
- MUTIAN協力病院ではないけれど神奈川でGS-441524によるFIP治療を実施した | 西湘動物病院 https://seisho-ah.com/news/2021/04/825/
- FIPの新薬にはどんな種類がある?新薬以外の薬でも大丈夫?有効性や値段などを紹介 | 令和動物病院 https://reiwa-animal-hospital.com/2023/12/07/fip-new-medicine/
- 院長ブログ|神田アニマルクリニック https://www.koda-ac.jp/blog/20200401.html
- ハッピー動物病院|FIP治療専門外来 https://www.happy-ac.net/fip
- 猫のFIP治療費は本当に高額?治療薬の費用相場と安くする方法 | ぽちたま薬局スタッフブログ https://pochitama.pet/wp/fip_cat
- FIPのちゃんとした治療を~経口GS441524の治療|神戸アニマルクリニック https://ackobe.com/column/131-2/
- FIP治療の実際 | FIP猫伝染性腹膜炎治療センター|ユーミーどうぶつ病院 https://sasetch.com/?p=9136
- FIP治療、MUTIAN(ムティアン)について | ひなた動物病院 https://hinata-ah.life/713.html
- モルヌピラビルは猫のFIPに有効?費用や適切な投与方法についても解説 | 令和動物病院 https://reiwa-animal-hospital.com/2025/01/29/molnupiravir/
- モルヌピラビルによる猫伝染性腹膜炎FIPの治療 症例報告や当院における治療費用・治療成績 | トレア動物病院 https://torea-ah.com/case/モルヌピラビルによる猫伝染性腹膜炎fipドラ/
- モルヌピラビルの投与量・副作用と猫FIP治療の2025最新の知見を公開 | ぽちたま薬局スタッフブログ https://pochitama.pet/wp/administration_for_fip
- FIP(猫伝染性腹膜炎)の治療法 -モルヌピラビルという選択肢- | 名古屋みらい動物病院 https://nagoyamirai.jp/fip(猫伝染性腹膜炎)の治療法 モルヌピラビル/
- モルヌピラビルによる猫のFIP治療の安全性と問題点について | 西湘動物病院 https://seisho-ah.com/news/2022/03/1118/
- FIP(猫伝染性腹膜炎)抗ウイルス剤による治療実績、450症例の長居動物病院へ https://www.nagai-vet.jp/FIP/
- 猫伝染性腹膜炎(FIP)の治療方法を広め、多くの猫を救いたい | ユーミーどうぶつ病院 | ドクターズインタビュー https://pet.doctors-interview.jp/treatment/5745
- 猫伝染性腹膜炎(FIP)の治療|治療薬の比較 | 湘南ルアナ動物病院 https://ruana-ah.com/blog/1290/
- 猫伝染性腹膜炎(FIP)は完治する?病気の特徴や原因、治療法を解説 | 富士見台どうぶつ病院 https://fujimidai-ac.com/column/cat-fip
- 猫伝染性腹膜炎(FIP)とは?症状・原因・治療法と近年の治療事情 | ひとみ動物病院 https://hitomi-ah.com/column/fip/
- FIP(猫伝染性腹膜炎)とは?症状や治療法などを解説 | にじいろアニマルクリニック https://nijiiro-animal.com/column/cat-fip/
- FIPは完治する?治る割合や治療過程を解説 | 令和動物病院 https://reiwa-animal-hospital.com/2022/08/14/猫のfip(猫伝染性腹膜炎)の症状と治療について/
- Therapeutic Effects of Mutian® Xraphconn on 141 Client-Owned Cats with Feline Infectious Peritonitis – PMC https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8950863/
- Molnupiravir treatment of 18 cats with feline infectious peritonitis: A case series – Journal of Veterinary Internal Medicine https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jvim.16801
- 最新FIP治療プロトコールアップデート | DVMsどうぶつ医療センター横浜 https://yokohama-dvms.com/member/2053/



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