はじめに
「うちの子に遊び相手がいた方がいいかも」「1匹だと留守番が寂しそう」—そんな想いから2匹目のお迎えを検討されている飼い主さんも多いのではないでしょうか。
しかし、多頭飼いは決して「猫を増やすだけ」ではありません。猫はもともと単独行動をする動物であり、新しい猫の存在が先住猫と新入り猫の双方にとって大きなストレスとなる可能性もあります。
この記事では、2匹目を迎える前に知っておくべき準備や心構え、正しい慣れさせ方、よくあるトラブルの対処法まで、獣医師監修の信頼できる情報をもとに詳しく解説します。先住猫と新入り猫、そして飼い主さんみんなが幸せになれる多頭飼いライフを実現するために、ぜひ最後までお読みください。
2匹目を迎える前に必要な準備と心構え

先住猫の性格と環境の見直し
多頭飼いを成功させるために最も重要なのは、先住猫の性格を正しく理解することです。
多頭飼いに向いている先住猫の特徴
- 活発で遊び好き
- 来客や目新しいものに自分から近づく
- 大胆で物怖じしない性格
多頭飼いに向いていない先住猫の特徴
- 神経質、怖がり
- 来客や目新しいものを警戒する
- 気が強い性格
- 飼い主にべったりで「猫が嫌いな猫」
また、猫同士のソーシャルディスタンスは2メートル必要で、猫1匹に1部屋を意識した空間確保が理想的です。6畳一間のような狭い空間では、猫同士がストレスを感じやすくなります。各猫が安心して過ごせる隠れ場所と、互いに干渉されない逃げ場所を確保できるかどうかが、多頭飼い成功の鍵となります。
さらに、先住猫の年齢も重要な判断材料です。7歳以上のシニア猫の場合は、新たに猫を迎えるのは避けた方が無難で、高齢猫は環境の変化に対応しにくく、若い猫を迎えることでストレスになる可能性があります。
必要な設備とスペース準備
2匹目を迎える前に、以下の設備準備が欠かせません。
トイレの準備
- 理想的な数:「頭数+1」個
- 設置場所:それぞれ離れた場所に配置
- 清潔管理:1日2回以上の掃除
猫は綺麗好きな動物のため、他の猫が使用したトイレを嫌がることがあります。完全に使わないということではありませんが、ストレスを感じやすくなるため、できるだけ個別に用意してあげることが重要です。
新入り猫専用のケージ
- 推奨タイプ:3段ケージ(猫は上下運動をする動物のため)
- 設置物:専用のベッド、トイレ、食器、水入れ
- 環境配慮:隠れられるように布などをかける
経済面での準備
- 医療費:ワクチン代、健康診断費用が2倍
- 日用品:フード代、猫砂代が2倍
- 災害対策:避難時の準備も2匹分必要
健康面での事前準備 新しい猫を迎える前に必ず以下を実施してください:
- 健康診断の実施
- ノミや寄生虫の駆除
- ワクチン接種
- 不妊手術(避妊・去勢)
猫の感染症には治療困難で命に関わるものも多いため、十分な予防対策を講じてから迎え入れることが重要です。
2匹目の猫をお迎えする際におすすめの製品

2匹目の猫をお迎えする際に役立つ、多頭割引のあるペット保険と隔離期間に必要なケージをご紹介します。
多頭飼いにおすすめのペット保険(多頭割引あり)
アニコム損保「どうぶつ健保ふぁみりぃ」
多頭割引:2匹目以降 年間600円割引 業界シェアNo.1で窓口精算対応。腸内フローラ測定サービスも付帯しています。 公式サイト
アイペット損保「うちの子」
多頭割引:2~3契約で2%、4契約以上で3%割引 窓口精算対応で、犬と猫の組み合わせでも割引が適用されます。 公式サイト
SBIプリズム少短「プリズムペット」
多頭割引:2~3頭で5%、4頭以上で8%割引 補償割合100%で、飼育費用補償も付帯している点が特徴です。 公式サイト
2匹目導入時におすすめのケージ
アイリスオーヤマ プラスチック製キャットケージ 3段
プラスチック製で軽量かつ水洗い可能。各段に扉があり、キャスター付きで移動も便利です。3段構造で猫の上下運動にも配慮されています。
アイリスオーヤマ スリムキャットケージ 3段(木製天板付き)
インテリアに馴染む木目調デザイン。奥行47cmのスリム設計で狭いスペースにも設置可能。転倒防止チェーン付きで安全性も確保されています。
アイリスオーヤマ コンビネーションサークル
1段、2段、3段と組み替え可能で、横連結にも対応。将来的な拡張を考えている方におすすめです。ステンレス製トレイで衛生面も安心です。
ケージ選びのポイント
2匹目をお迎えする際は、3段ケージが特におすすめです。猫は上下運動を好むため、高さのあるケージの方がストレスを軽減できます。また、扉の数や位置、キャスターの有無、組み立ての容易さも重要なチェック項目です。
隔離期間中は、ケージ内にトイレ、給餌器、ベッド、おもちゃを設置し、新入り猫が安心して過ごせる環境を整えましょう。

2匹目猫の選び方と相性の重要ポイント

性別・年齢・性格による相性の考え方
猫同士の相性を決める最も重要な要素は、性別、年齢、そして性格の組み合わせです。
性別による相性の傾向
- オス×メス:最も相性が良い組み合わせ(特に去勢・避妊済みの場合)
- メス×メス:縄張り意識が比較的低くトラブルが少ない
- オス×オス:最も困難な組み合わせ(縄張り争い、マーキングのリスク)
ただし、オス同士でも両方とも去勢している場合は問題が軽減されることが多く、特に子猫の頃から一緒に育てた場合は成功しやすいです。
年齢差による相性の目安
- 理想的な年齢差:最大でも4~5歳差程度
- 年齢が近いメリット:遊びや運動レベルに共通点が生まれる
- 先住猫の単独生活期間:短いほど2匹目の受け入れがスムーズ
性格面での重要ポイント 先住猫が飼い主に執着せず適度な関係を好む方が多頭飼いに向いています。逆に飼い主にべったりで「猫が嫌いな猫」だったりすると不仲になる恐れがあります。
子猫、成猫、シニア猫の選択基準
年齢による選択基準を詳しく見ていきましょう。
子猫を選ぶ場合(生後2~9週齢の社会化期)
- メリット:柔軟に環境に適応しやすい
- 特徴:多頭飼いに抵抗せず一緒に遊びながら仲良くなりやすい
- 組み合わせ:子猫同士は特に相性が良い
成猫を選ぶ場合
- 先住猫が成猫の場合:子猫を迎えるのが理想的
- 理由:「赤ちゃんなら仕方ない」という心理で受け入れやすい
- 成猫同士:メス同士や避妊・去勢済みのオス×メスは比較的うまくいく
シニア猫との組み合わせ(最も注意が必要)
- 避けるべき組み合わせ:シニア猫×子猫
- 理由:活動量の大きな差により負担となる
- 推奨:シニア猫がいる場合は新たな猫を迎えるのは慎重に検討
シニア猫は身体機能が落ちてきているため、元気いっぱいじゃれついてくる子猫の存在は大きなストレスになる可能性があります。
お迎え当日から慣れるまでの正しい手順
隔離期間の進め方と注意点
新入り猫を家に連れ帰ったら、まず隔離部屋に入れて3~4日間は先住猫と完全に分離して過ごしてもらいましょう。
隔離期間の重要性
- 目的:お互いが存在を認識し、徐々に慣れていくため
- 期間:最低3~4日間(猫によってはより長期間必要)
- 代替方法:隔離部屋がない場合はケージを布で覆って接触を防ぐ
隔離期間中の「におい慣らし」 猫にとって重要な「名刺交換」となるにおいを活用した導入方法:
- 使用済みの毛布やおもちゃを交換する
- ハンカチで猫の顔周辺を拭き、においをつけたものを交換
- お互いの存在を落ち着いた状況で認知させる
新入り猫の環境設定
- ケージ内設備:専用ベッド、トイレ、食器、水入れ
- 隠れ場所:布などをかけて安心できる空間を作る
- 設置場所:家族がいるスペースでケージ越しに観察できる位置
対面から同居までのステップ
隔離期間を経て、お互いに落ち着いて食事や排泄ができるようになったら、段階的な対面を開始します。
ステップ1:ケージ越しでの初対面
- 方法:布で覆ったケージを一部取り外す
- 時間:1日5分から始めて徐々に延長
- 注意点:威嚇しても叱らず冷静に見守る
ステップ2:ケージ外での対面
- 条件:威嚇などが見られなくなってから
- 方法:ケージの扉を開け、新入り猫が自由に出入りできる状態
- 時間配分:15分→30分→1時間と段階的に延長
- 監視:必ず人の目が届く範囲で実施
慣れるまでの期間と個体差
- 一般的な期間:数日~数週間
- 長期間を要する場合:数ヶ月~1年
- 留守番時の注意:目が届かない時間は必ずケージに隔離
先住猫優先の原則 何事も先住猫を優先することが成功の鍵です
- 食事の順番:先住猫を最初に
- スキンシップ:先住猫から先に
- お手入れ:先住猫を優先
- 注意点:新入り猫(特に子猫)ばかりかわいがるのは絶対に避ける
この原則を守ることで、先住猫の疎外感を防ぎ、新入り猫への受け入れがスムーズになります。
多頭飼いでよくある問題と対処法

喧嘩やストレスサインの見極め方
多頭飼いでよく見られる問題として、猫同士の喧嘩や一方的な攻撃があります。
本気の喧嘩と遊びの見分け方 じゃれ合いなのか本気の喧嘩なのかを見極めることが重要です
- 本気の喧嘩のサイン:しっぽが膨らむ、一方的な攻撃、威嚇の声
- 対処法:板状のものを猫の間に立てて仲裁(直接手を出すのは危険)
- 注意点:激しい喧嘩は一度起こると関係修復が困難
猫のストレスサイン 以下の症状が見られたら注意が必要です
- 食欲不振、体重減少
- 嘔吐や下痢などの消化器症状
- 膀胱炎の発症
- お気に入りの場所で過ごさなくなる
- 隠れて出てこない
- トイレ以外での排泄
重要な注意点 猫は痛みや不調を隠す習性があるため、これらの症状が見られたら「ストレスのせい」と決めつけず、まず動物病院を受診することが大切です。
失敗した場合の判断基準と対処法
残念ながら、すべての猫同士が仲良くなれるわけではありません。
同居困難の判断基準 以下の状況が続く場合は、同居が難しいと判断する必要があります
- トライアル期間中の本気の血みどろの喧嘩
- 顔を合わせる度に激しい喧嘩が発生
- どちらかが継続的に体調を崩す
- 食事や排泄を我慢するようになる
対処法の選択肢
1. 居住空間の分離
- 猫同士を別の部屋に隔離
- それぞれに専用の食器、水、トイレを設置
- 定期的な寝具交換でにおいの慣れを促進
2. 時間差での共有
- 交代で同じ空間を使用させる
- 日中は先住猫、夜間は新入り猫など
- 長期的な関係改善を図る
多頭飼いの現実的な目標 重要なのは、多頭飼いの第一の目標は「仲良くなること」ではなく、「ケンカせずにお互いにストレスなく暮らせるようになること」だということです。同じ部屋にいることを許している、というだけでも十分に受け入れられたことになります。
最終的な判断 どうしても改善が見られない場合は、以下の選択肢も検討が必要です
- 新しい里親さんを探す
- 獣医師や動物行動の専門家への相談
- 適切なアドバイスによる解決策の模索
猫も飼い主も幸せに暮らせる選択を心がけることが最も重要です。
よくある質問と回答
Q1. 隔離できる部屋がない場合、多頭飼いは諦めるべきでしょうか?
A. 隔離専用の部屋がなくても多頭飼いは可能です。3段ケージを使用し、段ボール板や布で覆って先住猫と接触できないようにすることで代用できます。ケージ内には新入り猫専用のベッド、トイレ、食器、水入れを設置し、安心できる環境を作ってあげましょう。
Q2. 先住猫が10歳を超えていますが、2匹目は迎えられますか?
A. 7歳以上のシニア猫がいる場合、新たな猫を迎えるのは慎重に検討することをおすすめします。高齢猫は環境の変化に対応しにくく、ストレスから体調を崩すリスクがあります。どうしても迎えたい場合は、獣医師と相談の上、先住猫の健康状態を最優先に判断してください。
Q3. オス同士の組み合わせは絶対にダメですか?
A. オス同士が最も困難な組み合わせですが、絶対に不可能ではありません。両方とも去勢手術を済ませている場合は問題が軽減されることが多く、子猫の頃から一緒に育てた場合は特に成功しやすいです。ただし、縄張り意識が強くマーキングなどの問題行動が起こる可能性があるため、十分な準備と覚悟が必要です。
Q4. トライアル期間はどのくらい設けるべきですか?
A. 保護団体では通常2週間から1ヶ月程度のトライアル期間を設けています。猫同士の相性を見極めるには最低でも2週間は必要ですが、できれば1ヶ月程度の期間があると安心です。この期間中に本格的な喧嘩や体調不良が見られる場合は、無理をせず他の選択肢を検討しましょう。
Q5. 先住猫が新入り猫を威嚇し続けています。いつまで様子を見るべきでしょうか?
A. 威嚇は猫にとって自然な反応ですので、数日から1週間程度は様子を見ても大丈夫です。ただし、威嚇が激しくなったり、食事を取らなくなったり、トイレを我慢するようになった場合は、一度隔離期間を延ばして再度ゆっくりと進めてください。馴染むまでには最長で1年かかることもあります。
Q6. 多頭飼いでフードは別々に与える必要がありますか?
A. 基本的には別々に与えることをおすすめします。猫にはそれぞれ食べるペースや好み、必要な栄養が異なる場合があります。また、一方が他方のフードを横取りしてしまうトラブルを避けるためにも、少し離れた場所で同時に与えるか、時間をずらして与えるようにしましょう。
Q7. 2匹目を迎えた後、先住猫の性格が変わってしまいました。
A. 環境の変化により一時的に行動が変化することは珍しくありません。先住猫を優先し、今まで以上に愛情を注いであげてください。性格の変化が長期間続く場合や、攻撃的になる、食事を取らないなどの症状が見られる場合は、ストレスが原因の可能性があるため、獣医師に相談することをおすすめします。
まとめ

猫の2匹目をお迎えすることは、準備と心構えが何より重要です。先住猫の性格を理解し、適切な環境と設備を整え、正しい手順で慣れさせることで、多頭飼いは成功に導くことができます。
重要なポイントをおさらいすると、猫のソーシャルディスタンスは2メートル必要で、トイレは「頭数+1」、必ず隔離期間を経てからの段階的な対面、そして何事も先住猫優先が基本です。全ての猫同士が仲良くなるわけではありませんが、お互いにストレスなく同じ空間で過ごせるだけでも十分成功と言えるでしょう。
もしトラブルが発生した場合は、一人で悩まず獣医師や動物行動の専門家に相談することをおすすめします。適切な準備と愛情深いケアで、先住猫と新入り猫が共に幸せに暮らせる多頭飼いライフを実現してください。
参考文献・参照記事
この記事は以下の信頼できる情報源を参考に作成しました
ペットライン「先住猫に新入り猫を紹介するコツは?」https://www.petline.co.jp/note/cat/group/000831/
あーす・ぺっとはうす「多頭飼いを検討中のあなたへ。2匹目を迎える事前準備は念入りに!」https://earthpet-house.jp/library/prepare-for-the-second-cat/
アース・ペット株式会社「【獣医師監修】多頭飼いの心得②『もう1匹欲しい』ときは先住猫の性格を要チェック」(監修:小林充子獣医師)https://www.earth-pet.co.jp/advice/advice200602
ペットニュースストレージ「【獣医師監修】猫の多頭飼いのポイントは年齢と性別!先住猫と相性のよい猫の迎え方」https://www.petfamilyins.co.jp/pns/article/pfs202310g/
ねこのきもちWEB MAGAZINE「【獣医師監修】先住猫がいる場合の猫の迎え入れ注意点と対面手順を解説」(監修:長谷川諒獣医師)https://cat.benesse.ne.jp/withcat/content/?id=11670
ペトコト(PETOKOTO)「2匹目の猫を迎える際の注意点。後悔しないための準備や会わせ方を紹介」https://petokoto.com/articles/1888
東京都動物愛護相談センター「猫を複数飼いする前に考えること〜猫同士の相性編」https://wannyan.metro.tokyo.lg.jp/cat-column4/
新潟県動物愛護センター「動物愛護センターから2頭目の猫を迎えるにあたって」https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/seikatueisei/2cat.html
にゃんペディア「【獣医師監修】どうすれば喧嘩せずに仲良くなれる?猫の多頭飼いにおける初対面の方法と、トイレなどの日常生活の注意点とは?」https://nyanpedia.com/multiple_cat_importantpoint/
ぎふ動物行動クリニック「同居の猫同士で仲が悪い…どうすればいい?」https://tomo-iki.jp/cat-problem/12166
SBIペット少額短期保険「猫の多頭飼いに失敗しないための注意点!先住猫との対面、トイレ・ケージはどうする?」https://www.i-sedai.com/pet/column/cat/C0117.html
ペットニュースストレージ「【獣医師監修】猫の多頭飼いに必要な準備や上手くいくコツは?」https://www.petfamilyins.co.jp/pns/article/pfs20180912a/
Toletta Times「新たにねこを迎え、多頭飼いをはじめる方へ。ねこ同士の相性、対面のさせ方」https://jp.tolettacat.com/blogs/toletta-blog/get-along-with-newcat
みんなの子猫ブリーダー「猫の多頭飼い特集-経験者に聞いたホントのところ」https://www.koneko-breeder.com/multiHead.php
ねこちゃんホンポ「多頭飼い向きの猫とは?猫種・年齢・性別で相性のいい組み合わせ!」https://nekochan.jp/cattype/article/4559
注意: この記事の情報は一般的なガイダンスとして提供されており、個別の猫の状況に応じて獣医師の診断や指導を受けることを強く推奨します。多頭飼いに関する深刻な問題が発生した場合は、動物行動学の専門家や獣医師にご相談ください。



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