獣医師監修!梅雨時期の猫の皮膚トラブルを防ぐ5つのセルフケア術

季節のケア

はじめに

梅雨のジメジメした季節は、猫たちにとっても過ごしにくい時期です。この季節は特に猫の皮膚トラブルが増加しやすくなります。その理由は、猫の祖先が中東の砂漠地帯で暮らしていたリビアヤマネコであり、元々乾燥した環境に適応した動物だからです。

猫が快適に感じる湿度は40~60%程度と言われていますが、梅雨時期の室内湿度は70~80%にも達します。この湿度差が、かゆみや脱毛などの皮膚トラブルを引き起こす大きな要因となっています。さらに、高湿度環境ではカビや細菌、ノミやダニも繁殖しやすくなります。

この記事では獣医師監修のもと、梅雨時期の猫の皮膚トラブルを予防するための5つのセルフケア術をご紹介します。愛猫の健康を守るための参考にしてください。

梅雨時期に猫の皮膚トラブルが増える理由

猫にとって不快な湿度と皮膚環境の変化

猫は砂漠地帯を起源とする動物であるため、高湿度の環境には本来適していません。猫が快適に感じる湿度は40~60%程度ですが、梅雨時期の室内湿度は70~80%に達することも珍しくありません。この環境ギャップが様々な皮膚トラブルを招きます。

猫の被毛は水分を含みやすく、湿度が高いと被毛がベタついて不快感を与えます。また、猫は「気化熱」を利用して体温調節をしています。身体を舐めて唾液を塗り、その蒸発時の熱で体温を下げるのです。しかし湿度が高いと唾液が蒸発しにくくなり、体温調節がうまくいかなくなるため、ストレスの原因となります。

さらに高湿度環境では、皮膚の常在菌やカビが過剰に増殖しやすくなります。猫の皮膚は人間より薄く繊細なため、このバランスの崩れに敏感に反応し、様々な皮膚トラブルが発生しやすくなります。

梅雨時期に多い皮膚トラブルの種類と症状

1. 細菌・真菌による皮膚炎
高温多湿の環境では、マラセチアなどの皮膚常在菌や皮膚糸状菌が異常増殖し、かゆみ、フケの増加、皮膚の赤み、脱毛などの症状を引き起こします。特にシニア猫や免疫力が低下している猫では発症しやすくなります。
【皮膚糸状菌についてはこちら】

2. ノミ・ダニによる皮膚トラブル
梅雨時期はノミやダニが最も活発になります。ノミは気温18℃以上、湿度70~90%で最も繁殖しやすく、梅雨の環境はまさに理想的です。ノミの唾液がアレルゲンとなり「アレルギー性皮膚炎」を引き起こすことも。また、ツメダニという梅雨時期に増殖するダニでは、大量のフケや湿疹、かさぶたが発生することがあります。
【アレルギー性皮膚炎についてはこちら】

3. ストレス性の過剰グルーミングと脱毛
梅雨時期は湿疹やアレルギー性疾患により、猫がグルーミングの回数を増やす傾向があります。神経質な猫では換毛期と重なることで過剰なグルーミングによる脱毛(心因性脱毛)が起きることもあります。

皮膚トラブルを防ぐ5つのセルフケア術

①正しいブラッシングと被毛ケア

梅雨時期は猫の換毛期と重なることが多く、適切な被毛ケアが重要です。

ブラッシングの頻度

  • 短毛種:週2〜3回
  • 長毛種:毎日

ブラッシングの方法

  • 毛の流れに沿って優しく行う
  • 同時に皮膚の状態もチェックする
  • 猫の毛質に合わせたブラシを選ぶ(短毛種:ファインコーム、長毛種:スリッカーブラシ)

シャンプーについて

  • 獣医師に相談の上、月1回程度の低刺激シャンプーを検討
  • シャンプー後は完全に乾かす
  • ドライヤー使用時は弱風量で温度に注意
    ※猫は自らグルーミングで被毛を清潔に保つため、必ずしも全ての猫にシャンプーが必要というわけではありません。

【被毛の健康を維持するブラッシングのコツについてはこちら】

【シャンプーのコツについてはこちら】

②室内の湿度管理と環境整備

猫が快適に感じる湿度は40~60%程度です。室内の環境を整えましょう。

湿度管理の方法

  • 室内に温湿度計を設置
  • 定期的な換気(雨の日でも短時間行う)
  • エアコンのドライ機能の活用(風は猫に直接当てない)
  • 除湿機の利用(特に猫がよく過ごす場所)
  • 除湿剤の設置(猫が届かない位置に)

清潔な環境維持

  • 猫のベッドやマットは定期的に洗濯・乾燥
  • 通気性の良いメッシュ地やリネン素材の寝床を選ぶ
  • トイレは通常より頻繁に清掃する

③信頼できるノミ・ダニ予防薬の使用

梅雨時期はノミやダニが活発に繁殖するため、室内飼いでも予防が必要です。

予防薬の選び方と使用

  • 必ず獣医師に相談して選ぶ
  • 処方に従って正しく使用する
  • 市販品の独自判断での使用は避ける
  • 梅雨入り前からの予防が効果的

予防薬のタイプ

  • スポットタイプ(首筋に垂らすタイプ)
  • 経口タイプ(錠剤)
  • 猫の性格や状況に応じて最適なものを選択

日常的な予防対策

  • 寝具類の定期的な日光消毒
  • こまめな掃除機がけ(卵や幼虫の除去)

④皮膚環境を整える食事の工夫

健康な皮膚と被毛の維持には内側からのケアも重要です。

フード選びのポイント

  • オメガ3・6脂肪酸を含むもの
  • 原材料の最初に良質な動物性タンパク質が記載されているもの
  • 必要に応じて皮膚ケア用の療法食を検討

水分摂取量の確保

  • ウェットフードの活用(梅雨時期は30分以内で下げる)
  • 新鮮な水を常備する
  • 水飲み器は清潔に保つ

食物アレルギーに注意

  • 皮膚トラブルが続く場合は食物アレルギーの可能性も
  • 症状が気になる場合は獣医師に相談

⑤定期的な皮膚チェックの方法

早期発見・早期対応が梅雨時期の皮膚トラブルを最小限に抑える鍵です。日常的なチェックの習慣をつけましょう。

チェックのポイント
週に1〜2回、以下の点に注意して猫の皮膚をチェックします。

  • 皮膚の赤み、発疹、かさぶたの有無
  • 過度のフケや皮脂の分泌
  • 部分的な脱毛や被毛の薄い箇所
  • 猫が特に気にして舐める場所がないか
  • 被毛の艶や質の変化

効果的なチェック方法
猫をリラックスさせた状態で、優しく触れながら皮膚の状態を確認します。特に耳の裏、首周り、脇の下、お腹、足の間など、目につきにくい場所も忘れずにチェックしましょう。

獣医師に相談すべきサイン
以下のような症状が見られた場合は、自己判断せず獣医師に相談しましょう。

  • 強いかゆみを伴う皮膚の異常
  • 皮膚の赤みや腫れが広がっている
  • 脱毛が急に増えた、または円形に脱毛している
  • 皮膚からの出血や膿の分泌
  • 通常以上の頻度でグルーミングを行う

適切な環境管理と日常的なケアを組み合わせることで、梅雨時期の皮膚トラブルの多くは予防できます。愛猫の健康を守るために、これらの対策を無理なく継続していくことが大切です。

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獣医師に相談すべきサイン

セルフケアは大切ですが、猫の皮膚トラブルには自己判断での対応に限界があります。以下のようなサインが見られた場合は、速やかに獣医師の診察を受けましょう。

自己判断せず診察を受けるべき症状

皮膚の異常が顕著な場合

  • 皮膚の赤みや腫れが広範囲に広がっている
  • 皮膚にかさぶたや湿疹が多数見られる
  • 皮膚から膿や出血が見られる
  • 皮膚に異常な臭いがある

被毛の状態に大きな変化がある場合

  • 短期間で急激な脱毛が見られる
  • 円形や特定のパターンで脱毛している
  • 被毛の色や質感が大きく変化した
  • 過剰なフケが継続的に出ている

猫の行動に変化がある場合

  • 通常以上に体を掻いたり、舐めたりしている
  • 特定の部位を執拗に気にしている
  • 触られるのを極端に嫌がるようになった
  • 食欲や活動性が低下している

症状が持続または悪化する場合

  • 2〜3日経っても症状が改善しない
  • セルフケアを行っても症状が悪化している

猫の皮膚病の原因は多様で、ノミやダニなどの寄生虫、細菌やカビの感染症、アレルギー反応、ストレスなど様々です。原因によって適切な治療法も異なるため、皮膚トラブルが見られたときは自己判断を避け、専門家の診察を受けることをおすすめします。

梅雨時期は特に高温多湿で皮膚トラブルが悪化しやすいため、早期発見・早期治療が愛猫の負担を軽減する鍵となります。

よくある質問(Q&A)

Q1: 梅雨時期、猫の皮膚は何日おきにチェックすべきですか?

A1: 梅雨時期は週に2回程度のチェックが理想的です。特に皮膚トラブルの既往歴がある猫や、長毛種、シニア猫、免疫力が低下している猫は、より頻繁にチェックすることをおすすめします。ブラッシングの際に合わせてチェックすると効率的です。皮膚の赤み、かさぶた、脱毛、過剰なフケなど、異常が見られた場合はより頻繁に状態を観察しましょう。

Q2: 室内飼いの猫もノミ・ダニ対策は必要ですか?

A2: はい、室内飼いの猫でもノミ・ダニ対策は必要です。ノミやダニは飼い主の衣服や靴を通じて室内に持ち込まれることがあります。特に梅雨時期はノミやダニが活発に繁殖する時期のため、室内飼いの猫であっても予防措置を講じることが重要です。定期的な予防薬の使用と、清潔な環境維持を心がけましょう。獣医師と相談し、猫の状態や生活環境に適した予防方法を選択することをおすすめします。

Q3: 猫用シャンプーは皮膚トラブル予防に効果的ですか?

A3: 猫用の低刺激シャンプーは、適切に使用すれば皮膚トラブル予防に効果があります。特に梅雨時期は皮膚の常在菌やアレルゲンを洗い流す効果が期待できます。ただし、頻繁な使用は逆に皮膚の乾燥や皮脂の過剰分泌を招くことがあるため、通常は月に1回程度を目安にしましょう。皮膚トラブルがある場合は、獣医師の指示に従い、症状に合った薬用シャンプーを使用するのが最適です。シャンプー後は必ず完全に乾かし、湿ったままにしないよう注意が必要です。

Q4: 梅雨時期に特に気をつけるべき猫種はありますか?

A4: 長毛種(ペルシャ、メインクーン、ラグドールなど)は被毛に湿気が溜まりやすく、皮膚トラブルのリスクが高まります。また、皮膚が敏感な傾向のあるスフィンクスなどの無毛種や、アレルギー体質を持つことが多いシャム猫やその混血種も注意が必要です。さらに、高齢猫や免疫力が低下している猫は、皮膚の抵抗力が弱まっているため、梅雨時期の皮膚トラブルに特に注意が必要です。猫種特性を理解し、それぞれに合ったケアを行いましょう。

Q5: エアコンの使用は猫の皮膚トラブル予防に有効ですか?

A5: エアコンの適切な使用は湿度管理に効果的で、皮膚トラブル予防に役立ちます。特にドライ(除湿)機能を活用して室内湿度を40〜60%程度に保つことが理想的です。ただし、エアコンの風が直接猫に当たると、逆に皮膚の乾燥を招くことがあります。風向きは上向きに設定し、風量は弱めにすることをおすすめします。また、エアコンのフィルターにはカビやホコリが溜まりやすいため、定期的な清掃が必要です。猫がエアコンを苦手とする場合は、除湿機の使用も検討しましょう。

まとめ

梅雨時期の猫の皮膚トラブルは、適切なケアと環境管理で予防できます。本記事で紹介した5つのセルフケア術―①正しいブラッシングと被毛ケア、②室内の湿度管理と環境整備、③信頼できるノミ・ダニ予防薬の使用、④皮膚環境を整える食事の工夫、⑤定期的な皮膚チェック―を実践し、愛猫の健康を守りましょう。

異変を感じたら自己判断せず、早めに獣医師に相談することも大切です。猫が快適な湿度(40~60%)の環境で過ごせるよう配慮し、定期的なケアを続けることで、梅雨時期も元気に乗り切れるでしょう。

参考文献/参照記事

1. 「ジメジメ、ムシ暑い!猫ちゃんが梅雨を快適に過ごす秘訣とは」(2024). POP ONE BLOG. https://www.poponeko.jp/blogs/note/how-117

2. 「もしかして梅雨バテしてるかも!? 梅雨時期に気を付けたい猫の症状3つ」(2021). ねこのきもちWEB MAGAZINE. https://cat.benesse.ne.jp/withcat/content/?id=90275

3. 「【獣医師監修】梅雨時のペットの体調管理」. アース・ペット株式会社お役立ち情報. https://www.earth-pet.co.jp/advice/advice190602

4. 「くしゃみの原因はクーラー?梅雨時期の猫の病気と快適な環境」. 松波動物メディカル ペットのお役立ちコラム. https://www.matsunami-shop.com/column/kushami/

5. 「もうすぐ梅雨がやってくる!猫のためにやっておきたい対策とは?」(2019). CARICARINA. https://www.caricarina.com/blog/20190604/

6. 「【獣医師監修】飼い主が知っておきたい猫の皮膚病の原因、症状、治療法、対策」(2023). 猫との暮らし大百科. https://www.anicom-sompo.co.jp/nekonoshiori/628.html

7. 「猫の皮膚炎の症状や原因とは? 治療・予防方法も解説」. Vetz Petz. https://vetzpetz.jp/blogs/column/cat-dermatitis

8. 「猫の皮膚病の症状と原因、治療法について」(2023). ペット保険のPS保険. https://pshoken.co.jp/note_cat/disease_cat/case059.html

9. 「【獣医師監修】原因別・猫の皮膚病大全」. アース・ペット株式会社お役立ち情報. https://www.earth-pet.co.jp/advice/advice211101

【この記事の監修者】
窪木未津子 獣医師 / 富士見台どうぶつ病院 院長

群馬県出身。ヤマザキ動物専門学校卒業後、麻布大学獣医学部を修了。埼玉県と東京都の動物病院で勤務した経験を持つ。

獣医師・動物看護士・トリミング・ドッグトレーナーの資格を有し、あらゆる面でペットとその飼い主をサポート。生活の悩みから病気やケガに至るまで、幅広い相談に応じる。

過去に飼っていた動物として、ツキノワグマ、リスザル、ニオイカメ、魚、鳥、フクロモモンガ、ハムスター、シマリスなど、多種多様な動物たちと共に過ごしてきました。

院長を務める動物病院「富士見台どうぶつ病院」

住所:東京都中野区上鷺宮4-15-6
電話番号:03-3825-1111
診療時間:午前9:00〜12:00 午後16:00〜19:00
休診日:木曜日
診療対象:犬、猫、うさぎ、ハムスター、フェレット(その他の種類はお問合せください)
※お電話でのご予約は受付けておりません。

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