はじめに
猫の緑内障は、眼圧が上昇することで視神経が損傷し、放置すると失明につながる深刻な病気です。早期発見と適切な治療が重要ですが、初期段階の症状は飼い主さんが見逃しやすいこともあります。この記事では、獣医師の解説を交えながら、猫の緑内障の原因と治療法について詳しく説明します。
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緑内障とは?発症メカニズムと症状
緑内障は、眼圧が異常に上昇することで視神経が損傷を受ける病気です。早期発見と適切な治療が重要ですが、初期段階の症状は飼い主さんが見逃しやすいこともあります。
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緑内障の発症メカニズム
緑内障は、以下のようなメカニズムで発症します。
- 房水の流れの障害
- 眼球内には、房水と呼ばれる透明な液体が循環している
- 房水の流れが滞ると、眼圧が上昇する
- 眼圧の上昇
- 房水の流れが滞ることで、眼球内の圧力が異常に高くなる
- 高い眼圧が持続すると、視神経が圧迫される
- 視神経の損傷
- 視神経は、眼球から脳に視覚情報を伝える重要な神経
- 高い眼圧による視神経の圧迫が持続すると、視神経が損傷を受ける
- 視機能の低下と失明
- 視神経の損傷が進行すると、視野が狭くなったり、視力が低下したりする
- 適切な治療を行わないと、最終的には失明に至ることがある
このように、緑内障は房水の流れの障害から始まり、眼圧の上昇、視神経の損傷を経て、視機能の低下や失明に至る病気です。
緑内障の症状
緑内障の症状は、病期によって異なります。初期段階では、飼い主さんが気づきにくい症状もあります。
- 初期の症状
- 目の充血:結膜が赤く充血している
- 目の痛み:眼球の奥の痛みを訴えることがある
- 瞳孔の拡大:瞳孔が通常より大きくなっている
- 進行期の症状
- 目の腫れ:眼球が腫れぼったくなる
- 角膜の混濁:角膜が白く濁ってくる
- 視力の低下:ぶつかりやすくなったり、物が見えにくくなったりする
- 末期の症状
- 失明:完全に視力を失う
- 眼球の拡大:眼球が大きくなり、眼球破裂の危険性がある
これらの症状は、猫の個体差や緑内障のタイプによって異なることがあります。片眼だけに症状が出る場合と、両眼に出る場合があります。
飼い主さんが日頃から猫の目の様子を観察し、少しでも異変を感じたら、速やかに獣医師に相談することが大切です。早期発見と適切な治療が、緑内障による視機能の低下や失明を防ぐために重要です。
緑内障の原因と種類
猫の緑内障は、原因によっていくつかのタイプに分類されます。原因を特定することは、適切な治療方針を決定するために重要です。
原発性緑内障
原発性緑内障は、眼球内の構造的な異常が原因で発症します。
- 先天性緑内障
- 生まれつき、房水の流れが阻害されている
- 若い猫に多く見られる
- 原発開放隅角緑内障
- 隅角(房水の排出経路)が開いているが、房水の流れが滞る
- 中高齢の猫に多く見られる
- 原発閉塞隅角緑内障
- 隅角が狭くなったり、閉塞したりすることで、房水の流れが滞る
- シャムやヒマラヤンなどの特定の品種に多く見られる
続発性緑内障
続発性緑内障は、他の眼疾患や全身疾患が原因で発症します。
- 炎症による続発性緑内障
- ぶどう膜炎などの眼内の炎症が原因で発症する
- 炎症により、房水の流れが滞る
- 腫瘍による続発性緑内障
- 眼内や眼窩内の腫瘍が、房水の流れを阻害する
- 腫瘍の種類や大きさによって、症状の重症度が異なる
- 白内障による続発性緑内障
- 白内障が進行し、水晶体が膨張することで、房水の流れが滞る
- 高齢の猫に多く見られる
- 全身疾患による続発性緑内障
- 高血圧や糖尿病などの全身疾患が、眼圧上昇の原因となる
- 全身疾患のコントロールが、緑内障の治療に重要となる
外傷性緑内障
外傷性緑内障は、眼球への外傷が原因で発症します。
- 鈍的外傷による緑内障
- 眼球への強い打撃により、房水の流れが阻害される
- 交通事故や喧嘩などで発生することがある
- 穿通性外傷による緑内障
- 眼球を貫通する傷により、房水の流れが阻害される
- 猫の爪や尖ったものによる傷で発生することがある
緑内障の原因を特定するために、獣医師は詳細な眼科検査と全身検査を行います。原因に応じた適切な治療を行うことが、視機能を保護し、緑内障の進行を抑えるために重要です。飼い主さんは、猫の目の状態に注意を払い、異変があれば速やかに獣医師に相談しましょう。また、定期的な健康診断で、早期の段階で緑内障を発見することも大切です。

緑内障の診断と治療方法
緑内障は進行が速く、放置すると失明につながる可能性があるため、早期発見と適切な治療が重要です。獣医師は、症状や検査結果を総合的に判断して、緑内障の診断を行い、最適な治療方針を決定します。
緑内障の診断方法
緑内障の診断には、以下のような方法が用いられます。
- 眼圧測定(トノメトリー):眼圧を測定し、正常範囲(15〜25mmHg)を超えていないかを確認する。
- 眼底検査(検眼鏡検査):眼底カメラや特殊な器具を用いて、視神経乳頭や網膜の状態を観察する。
- 隅角検査(ゴニオスコピー):隅角鏡を用いて、房水の排出経路である隅角の状態を観察する。
- 超音波検査:眼球内の構造を詳細に観察し、腫瘍や水晶体の異常を確認する。
これらの検査を組み合わせることで、緑内障の原因や病期を特定し、適切な治療方針を決定します。
緑内障の治療方法
緑内障の治療は、原因や病期に応じて、薬物療法、手術療法、またはその組み合わせが選択されます。
- 薬物療法:
- 点眼薬:プロスタグランジン関連薬、β遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬などを用いて、房水の産生を抑制し、眼圧を下げる。
- 全身投与薬:炭酸脱水酵素阻害薬やマンニトールを全身投与し、眼圧を下げる。
- 手術療法:
- レーザー手術:隅角にレーザーを照射し、房水の排出を促進する。
- シャント手術:眼球内に人工的な排出路を作成し、房水の流れを改善する。
- 眼球摘出術:失明した眼球や、極度に眼圧が上昇した眼球を摘出する。
治療の選択は、緑内障のタイプ、病期、猫の全身状態などを考慮して行われます。早期発見と適切な治療開始が、視機能の保護と維持に役立ちます。
飼い主さんの役割
緑内障の治療には、飼い主さんの協力が不可欠です。
- 投薬の管理:点眼薬や内服薬を処方された通りに与える。
- 通院と経過観察:定期的な通院で、治療の効果や副作用を確認する。
- 家庭でのケア:ストレス管理、バランスの取れた食事、安全な環境の提供など。
飼い主さんと獣医師が協力して、適切な治療とケアを行うことが、猫の緑内障の管理に役立ちます。早期発見と適切な治療が重要な疾患です。飼い主さんが猫の目の健康に注意を払い、異変があれば速やかに獣医師に相談することが大切です。定期的な健康診断と、獣医師との密な連携が、愛猫の視機能を守ることにつながります。
緑内障の予防と日常ケア
緑内障は早期発見と適切な治療が重要ですが、日常的な予防とケアも大切です。飼い主さんができる予防法と、愛猫の目の健康を維持するための日常ケアについて説明します。
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定期的な健康診断
定期的な健康診断は、緑内障の早期発見に役立ちます。
- 年に1回以上の健康診断を受ける。
- 高齢猫や、緑内障のリスクが高い品種(シャム、ヒマラヤンなど)は、より頻繁な検査が推奨される。
- 健康診断では、眼圧測定や眼底検査などを行い、緑内障の兆候がないかを確認する。
日常的な観察
飼い主さんが日常的に猫の目の状態を観察することも重要です。
- 目の異変(充血、腫れ、目やにの増加など)に気づいたら、速やかに獣医師に相談する。
- 猫の行動変化(視力低下によるぶつかり、目の痛みによる瞬目の増加など)にも注意を払う。
- 異変の早期発見が、迅速な治療開始と視機能の保護につながる。
ストレス管理
ストレスは、緑内障の発症や進行に影響を与える可能性があるため、適切な管理が必要です。
- 猫が安心できる環境を整える(清潔で快適な空間、ハイディングスペースの提供など)。
- 適度な遊びとスキンシップで、猫とのコミュニケーションを図る。
- 急な環境の変化を避け、猫のストレスを最小限に抑える。
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バランスの取れた食事
バランスの取れた食事は、全身の健康維持に役立ち、緑内障のリスクを減らすことにつながります。
- 猫の年齢や健康状態に合った、高品質のキャットフードを与える。
- 必要な栄養素(タンパク質、脂肪、ビタミン、ミネラルなど)が十分に含まれているか確認する。
- 新鮮で清潔な水を常に提供する。
眼疾患の治療と管理
他の眼疾患(ぶどう膜炎、白内障など)は、続発性緑内障のリスクを高めるため、適切な治療と管理が必要です。
- 眼疾患の兆候(目の充血、濁り、視力低下など)があれば、速やかに獣医師に相談する。
- 処方された治療を守り、定期的な経過観察を受ける。
- 眼疾患のコントロールが、続発性緑内障の予防につながる。
これらの予防法と日常ケアを実践することで、緑内障のリスクを減らし、愛猫の目の健康を維持することができます。
飼い主さんが猫の目の健康に注意を払い、異変があれば速やかに獣医師に相談することが大切です。また、獣医師との連携を密にし、適切な治療とケアを行うことが、緑内障の予防と管理に役立ちます。
猫の緑内障は、早期発見と適切な治療が重要な疾患です。飼い主さんの理解と協力が、愛猫の視機能を守る鍵となります。定期的な健康診断と日常ケアを通して、愛猫の目の健康を守りましょう。
まとめ
猫の緑内障は、眼圧が上昇することで視神経が損傷する深刻な病気です。先天性、続発性、外傷性、腫瘍性など、さまざまな原因で発症します。症状は、目の充血、腫れ、瞳孔の拡大、目の痛み、視力低下などです。診断には眼圧測定や眼底検査などが行われ、治療法は薬物療法、手術療法、眼球摘出術などがあります。予防には、定期健診とストレス管理、バランスの取れた食事が重要です。飼い主さんが日頃から猫の目の健康状態に注意を払い、異変があれば速やかに獣医師に相談することが大切です。適切な予防と早期発見・早期治療で、愛猫の緑内障を防ぎましょう。



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